次に、紹介する漢方薬「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)」は、以下のような症状の人に使われています。まず、1,「耳鳴りの音」については、自覚症状として「雷や潮騒のような比較的大きな音」を感じている人。2,「耳鳴りの悪化要因」としては、「興奮により悪化する耳鳴り」。そして、3,「随伴する症状」としては、「イライラ・不眠・高血圧・頭痛」。
この知柏地黄丸は、処方箋としては、このように怒りやすく、顔面を高潮させ血圧が高くなりやすい人の「比較的高い耳鳴り」や、耳閉に用いています。効能は、耳鳴りの他、疲労倦怠感、頻尿、むくみ、腰痛、手足のしびれ、手足の冷感など、としています。
なお、この知柏地黄丸は、中国の「景岳全書」(1624年)や「医岳全書」(1742年)に既に出典されています。共に古代中国を代表する医学全書です。 また、繰り返しになりますが、これまで紹介した「耳鳴丸」も同様な解説をすると、次のようになります。
「耳鳴りの音」については、自覚症状として「セミが鳴くような音」を感じている人。「耳鳴りの悪化要因」としては、「夜など周囲が静かだと特に気になる耳鳴り」を訴える人。「随伴する症状」としては、「のぼせ、火照り、口渇、目の乾燥、貧血傾向」。処方箋としては、体質的にのぼせや火照り、目や口の乾きなどを訴える人や、貧血傾向の慢性的な耳鳴りの人に用いる、としています。
つまり、このように同じ耳鳴りの漢方薬を並べてみると、「耳鳴りの漢方薬選択の基本」は、それぞれの耳鳴りにおける自覚症状に応じたきめ細かな薬の選び方にあるということが、わかります。
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